【連載:映画で分かる女の本音】新しい恋を始めるために必要な時間と距離はどのくらい?~『マイ・ブルーベリー・ナイツ』~

恋愛は相手ありき。愛の終わりも恋の始まりも自分の意思で線を引かないことには未来へ進むことはできないものです。

でも、前に進みたいけれど、失った愛に執着して身動きできないときだってある。そんな女心を癒してくれる映画がウォン・カーウァイ監督の『マイ・ブルーベリー・ナイツ』です。

ホンネスト

愛した人との別れは、生きる気力を奪ってしまうほどの絶望的な痛みがあります。エリザベス(ノラ・ジョーンズ)の場合は恋人の心変わりによってもたらされた別れなので、どう心の整理をつけていいのか分からない。

ひどい喧嘩をしたとか、一緒になれない障害があったとか、浮気が原因だとか、何か決定的な理由があればまだしも、恋人の心変わりだけで告げられたサヨナラを受け入れるのは、簡単なことではありません。

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未練に囚われたまま、エリザベスは恋人だった人の家の近くにあるカフェに出入りするようになりますが、それは過去への執着でしかない。

だって、恋人だった人はもうとっくに新しい女性との未来を歩きはじめているのですから……。

彼女の行き場のない悲しみを受け止めてくれるのが、カフェオーナーのジェレミー(ジュード・ロウ)と、彼が焼く甘酸っぱいブルーベリー・パイです。

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「別れの理由が知りたい」というエリザベスに「知らなくてもいいことがある」と、店のケーキを例えにやさしく語るシーンは、ジュード・ロウの色気効果もありますが、妙に納得。

このままジェレミーとつき合ってしまえばいいのに! と思うものの、そう簡単に道を渡れないのは、エリザベスが恋愛に対して真面目だからかもしれません。

“こっちがダメだからこっち”というように楽な選択しても、いつか向きあう日が来ることを彼女は知っている。

だから、あえて「道を渡るのに遠い“回り道”をしようと決めた」と、旅に出ます。5603マイル(約9000キロ)の旅に──。

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ニューヨークからメンフィスへ、メンフィスからラスベガスへ。感情に支配されないように、流されないように、昼も夜も働いて、ただ生きることに専念する。

そして、エリザベスは旅の途中で、別れた妻への愛を断ち切れずアルコール中毒になった男とその元妻(レイチェル・ワイズ)、人を信じないことを信念とする若く美しいギャンブラー(ナタリー・ポートマン)と出会い、彼らの生き方を通じて、愛って何だろう? 信じるって何だろう? と、自分の心と向きあい心の整理をしていきます。

時間と距離を置くことによって、心の中を占領していた悲しみが薄れ、“あの人”に会いたいという想いが募る。悲哀から恋慕へ移っていくエリザベスの変化は、共感せずにはいられないはずです。

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最後にこぼれ話をひとつ。DVDのジャケットになっているキスシーンはもちろん映画にも登場しますが、過去にウォン・カーウァイ監督に話を聞いたとき、見た目はロマンチックだけれど、ジュード・ロウの体勢はものすごく大変で苦労した、と語っていました。

でも、何度見てもやっぱりうっとりするほどロマンチックなシーンで、あのシチュエーションに憧れてしまう、というのも女の本音でしょうか。

 

 

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DVD:1,800円(税抜)Blu-ray:2,500円(税抜)
発売元:アスミック・エース 販売元:KADOKAWA (C)Block 2 Pictures 2006