【連載】オトナ漫画の原作者が本音を吐露、日常に潜むちょっとエロスなエトセトラ~電車編~

人々の交通手段である電車。私は地方出身ですが、都会に出る前は、「都会名物すし詰め満員電車だけは絶対に嫌だな」などと思ったものです。しかしそれは青二才の杞憂に過ぎませんでした。コンクリートジャングルの中を疾走するあの小さな箱の中で繰り広げられる人との触れ合いは、私の心とカラダを火照らせることに気づいたのです。

座席から感じる温もり

人が立ち去った後に座って感じる、お尻に伝わるあの温もり。先ほどまで座っていらした方の温もりを、私はお尻いっぱいに受け止めます。お尻の温もりは命のリレー。それを私は全身で受け止め、火照ってくる自分のカラダをいつも抑制しているのです。春は、フレッシュで新緑のようなピチピチの素人尻の温もりを。夏は、ギラギラ太陽に照り付けられたような温もり。秋は、スポーティもしくは、アーティスト気質で繊細なお尻の温もりが。そして冬の温もりは、寒い外から帰った時に差し出された一杯のクリームシチューのように、じんわりとカラダの芯まで私を温かくしてくれます。そうして私はお尻からメンズの温もり、そして春夏秋冬を感じ取るのです。

つり革と中吊り

私は電車に乗るといつも、中吊り広告とつり革を見つめます。中吊り広告…なんと卑猥なフレーズでしょうか。一歩間違えば完璧にアウトです。そして電車の動きに合わせて揺れる、つり革も一興。白くつるつるな裸体をひけらかした輪っかが、革に縛り上げられて吊るし上げられる様。「堪忍してください」そう、つり革たちの叫びが聞こえてきそうで、私はその光景をいつまでも眺めてしまうのです。

電車

固く大きなあの車体。勇ましく定められたレールの上を何の疑問も持たずに、ただ力強くひた走るあの鋼鉄のボディこそ、私のカラダを火照らせる元凶であり、悩ましく憎い存在。トンネルに何のためらいもなく車体を突っ込んでいく姿は私のM心を揺さぶるのです。

毎日利用する電車。あの動く小さな箱は、私をどこへ誘い、どこへ導くのでしょうか。早く到着することは滅多になく、どちらかと言えば遅延気味の電車から思わず長い夜を想像してしまうのです。そんな無機質な乗り物でさえも、ささやかなるエロスは存在するのです。