【連載:映画で分かる女の本音】ジタバタすることで失恋が思い出になる~『恋におぼれて』~

“この人こそ運命の人!”と思っていた人が自分の前から去り、自分ではない別の運命の人と人生を歩きはじめていたら……どうしますか? 何もせずに諦めますか? それとも何か行動に出ますか?

メグ・ライアン主演のラブコメディ『恋におぼれて』のヒロインは、元恋人の裏切りが許せなくて、偶然知り合った“元恋人の新しい彼女の元彼氏”と一緒に復讐作戦に出ます。

同じ境遇のフラれてしまった男女が、それぞれの元恋人の心を取り戻そうと奮闘するお話です。

ホンネスト

サム(マシュー・ブロデリック)は、元恋人のリンダ(ケリー・プレストン)を追いかけてニューヨークへ。

あてもないまま根性で(いえ、深い愛で)リンダを見つけ出し、 彼女が新しい恋人と暮らすアパートの向かいの廃墟ビルに住み、そこから彼女たちを望遠鏡でのぞき見する生活を始めます。

現実的には犯罪になり得る行為ですが、彼の職業は天文学者。故郷でリンダとうまくいっていたとき、望遠鏡で愛を確かめ合っていた──という裏設定があることで、映画ではユニークなシチュエーションとして描かれています。

一方、マギー(メグ・ライアン)が追いかけるのはアントン(チェッキー・カリョ)。リンダの新しい彼氏です。マギーは彼を失った悲しみを“復讐”という形で消化しようとします。

誰だって、運命だと思っていた人に突然裏切られてしまったら、可愛さ余って憎さ百倍、何とかして新しい恋人との仲を引き裂きたい! 彼を苦しませてやりたい! と思ってしまうものです。

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とは言っても、そんな本音を抱きつつも大抵の人はそれを実行に移すことなく、月日と共に思い出にしていくものです。

でも、マギーは偶然出会ったサムという助っ人を得たことで、その復讐を次々と実行! 最初は乗り気じゃなかったサムも、とあることがきっかけでスイッチオン!

フラれた者同士が手を組むとけっこう恐い! 命を狙うとかそういう恐い復讐ではないですが、現実的にあんなことやこんなことをされたら……まあ、人生めちゃくちゃですね(苦笑)。

そうやってマギーとサムがジタバタもがく姿は、切ないけれどとても愛おしくもあって、つい応援したくなってしまいます。

ホンネスト

去っていった愛が戻らないと分かっていても、愛は自分の思い通りにはならないと知っていても、これだけやったから諦められる、仕方ないと思える──

要は、自分は頑張ったんだと納得させてくれるものを人は失恋すると求めてしまうのかもしれません。マギーとサムのように。

また、辛口トークもこの映画の面白さのひとつです。ピリッとした会話の中には「愛の定義って何?」「誰かを愛していると(心が)空っぽじゃなくなる」などドキッとさせる会話も散りばめられていて、自分にとっての愛の定義を考える、そして自分の本音に気づく──。

過去の恋にけじめをつけたい、新しい恋に飛びこみたい人におすすめのラブコメディです。