【連載:映画で分かる女の本音】~あなたの記憶から消したくないものは何ですか?〜『世界から猫が消えたなら』

世界から猫が消えるってどういうこと? どんな話? まずそのタイトルに興味をそそられるのが映画『世界から猫が消えたなら』100万部を越えるベストセラー小説の映画化です。

ある日突然、余命がわずかだと宣告された“僕(佐藤健)”の前に僕とうりふたつの“悪魔”が現れ「世界からひとつモノを消すことで一日の命を得ることができる。さあ、何を消す? 」と、ウソのようなホントの話を持ちかけてくるところから物語は始まります。

ホンネスト

もしも世界から「電話」が消えたなら? もしも世界から「映画」が消えたなら? もしも世界から「時計」が消えたなら? もしも世界から「猫」が消えたなら……

命を延ばすために“僕”は“悪魔”の提案を受け入れるわけですが、この物語が奥深いのは──電話をこの世から消したとします。

すると単に電話そのものがなくなるだけでなく、これまでの電話にまつわる想い出も消えてしまう。

“僕”にとって電話は別れてしまったけれど大好きだった彼女との思い出が詰まっている。

電話が消えるということは、彼女との思い出も消えてしまうのか? という駆け引きが描かれることです。

ホンネスト

思ったのは、人の歴史、自分の人生というのは記憶でできているのだと。

毎日の小さな時間の積み重ね、その時その時に起きた出来事、一緒に過ごした人との時間……が、記憶として蓄積されていく。

 

ときに、つらい恋の思い出は「消してしまいたい」「消えてくれたらいいのに」と願うこともあります。

忘れ去られることもあります。でも、たとえ思い出さなくても記憶の深い場所に残っている。

その記憶と繋がっているモノが世界から消えてしまったとしたら、生きていても大切な記憶がないとしたら、人はとても空虚になってしまうような、そんな気さえします。

自分の命は惜しいけれど、大切な記憶を消してまで生きる意味って何なんだろう?

そんなことを考えさせられると同時に、大切な人との記憶を刻むにはどうしたらいいのか、というシンプルな問いかけも受け取りました。

ホンネスト

たどり着いた答えは、一緒に同じ時間を過ごすこと。答えはとてもシンプルでした。

SNSやメールもたしかに繫がっている感はありますが、5分でもいい10分でもいい、リアルに会う時間はやっぱり強く記憶に刻まれる、思い出になる。

 

だから、これからは大切な人にこまめに会いに行こうと思います。日帰りでもいいから里帰りしたり、仕事が忙しくてもほんの少し時間を作って大好きな人に会いに行ったり。

仕事でもそうです。いつも電話やメールなのではなく、時々でいいから「会いませんか」と言えるようにしたいなと。

 

自分が生きるか死ぬかを選ばなくてはならない切なさと悲しさはありますが、温かさもある。『世界から猫が消えたなら』はとても温かい気持ちになる映画です。

 

 

『世界から猫が消えたなら』5月14日(土)公開 出演:佐藤健 宮﨑あおい 濱田岳 奥野瑛太 石井杏奈 奥田瑛二 原田美枝子 原作:川村元気「世界から猫が消えたなら」 監督:永井聡 脚本:岡田惠和 音楽:小林武史 主題歌:HARUHI「ひずみ」(Sony Music Labels Inc.) 配給:東宝 (C)2016 映画『世界から猫が消えたなら』製作委員会