「理想の人は、絶対に浮気しない人!」の罠 by ぱぷりこ

『妖怪男ウォッチ』ぱぷりこです。よく婚活・恋活相談を受ける時、私は「ゆるふわ言葉と形容詞は爆破せよ!」と主張しています。なぜなら、考えているようで何も考えていないから。

特に「どんな人が好みなの?」「どういう人と恋愛して結婚したいの?」という質問への答えは、ゆるふわ言葉と形容詞のオンパレードになりがち。

本連載では、「どんな人が好み?」への回答によく見られる「あいまい・ゆるふわ表現の罠」を分析します。

 

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本日のゆるふわ表現「浮気しない人」

「浮気するなんてサイテーだよね」

「ねー信じらんないよねー。絶対に浮気しない人と結婚したい!」

 

恋愛経験が豊富な人もそうでない人も、誰もが1回か10回か100回は口にしたことがあると思います。一夫一婦制をとる社会では、多くの人は「浮気しないことを前提」でお付き合いしています(オープンリレーションシップの人もいるにはいますが少数派です)。「浮気しない人がいい」という言葉には多くの人が同意するでしょう。

 

「絶対に浮気しない人」= 絶対に心変わりしない人 

一見するとなんの問題もないように見える「浮気しない人がいい」ですが、下記のような文脈で使われる場合は注意が必要です。 

 

「前彼に浮気されてものすごくショックで、3年も引きずったんだよね。もう二度とあんな思いはしたくない。だから次は絶対に浮気しない人がいい」

「父の浮気で両親が離婚したから、私はものすごく傷ついた。子供にこんな思いをさせないためにも、結婚相手は絶対に浮気しない人じゃないとダメ」

このように、浮気で傷ついた過去があり「もう二度とあんな思いをしたくない」「失敗したくない」「傷つきたくない」という不安とトラウマを抱えている人は、「浮気しない人」という言葉の裏に「絶対に心変わりせず、絶対に自分を傷つけない人」という意味を込めていることがあります。

 

絶対に心変わりせず自分を傷つけない人を求めると陥りがちな罠

「浮気しない人」を「絶対に心変わりせず自分を傷つけない人」という意味で使っている場合、下記の罠に陥る可能性があります。

・相手が見つからない

・「絶対に心変わりしない人」を見抜く判断基準がなく、決めきれない

・「絶対」と言いながらあっさり裏切る、軽薄な人に引っかかる

・相手に「重い」と思われて別れを切り出される

そもそも人類は心も体も「変化」する生き物ですので「絶対に変化しない」を求める時点でだいぶ無茶ぶりです。

さまざまな人や考え方との出会い、経験によって、人の好みや考え方、性格は良くも悪くも変わっていきます。アラサーの自分と大学生時代の自分を比べた時、服や食べ物の好み、趣味、考え方が同じで変わらない!という人はいないでしょう。

自分ができていないことを他人に要求する時点で、無茶にもほどがあります。

かつ、「絶対に浮気しない人」をどうやって見抜くのかも疑問です。未来を確実に予測する技術はまだ見つかっていませんので、ぶっちゃけ一般人類には判断のしようがありません。

判断基準がないのに「絶対に浮気しない人がいい」と要求するのは「絶対に死にたくない、方法は知らないけど」と言うことと同じです。 

望みは共感するけれど実現が極めて難しいため、結果的に「相手が見つからない・決めきれない」罠にハマります。

 

「絶対に君を悲しませることはしない」「絶対に浮気しない」と自ら言う人を選ぶ、という方法もありますが、これはこれでリスクがあります。

言葉の重みを知っている真面目な人は「絶対」という重い言葉をそうそう簡単には使いませんが、言葉を軽く扱う軽薄な人は「絶対に約束する」と堂々と言い放ちます。まともな科学者や医者が「絶対に合ってる」「絶対に治る」とは言わず「可能性」を指摘するのに対して、疑似科学者の方が「絶対に改善する」と断言するのと同じ構造です。

 

「絶対」を求める人はとにかく不安なので、「可能性」などという曖昧な表現よりも、きっぱりとした「断定の表現」を好んで信じたがります。結果として、浮気するリスクが少ない真面目な人をスルーして、言葉を軽く使う軽薄な人間に引っかかるリスクがむしろ高まります。

「絶対に浮気しないで!」と要求すればするほど相手は「自分のことを信用してくれていない」とストレスを感じ、別れを切り出されることもままあります。

 

もちろん、「絶対に浮気しない」という人はいます。過去に浮気されて傷ついた人は、このような信条を持っていることが多いです。しかし、これは「相手に隠れて浮気をしない」という意味であり「絶対に心変わりをしない」という意味ではありません。

「浮気しない」タイプは、相手のことを好きでなくなった、あるいは他に好きな人ができた段階で「別れたい」と切り出してきます。これでは、「絶対に浮気しない=絶対に自分を傷つけない」という望みに当てはまりません。

 

結論:未来と他人に「絶対」を望むのは非現実的

誰だって傷つくのはイヤです。しかし、人生で「傷つく」ことを回避するのは不可能です。他人も未来も、自分ではコントロールができない存在だからです。自分で完璧に世界と他人をコントロールできるなら傷つくリスクを全回避することは可能でしょうが、現実的ではありません。

 

恋愛や結婚のパートナーは、どれほど仲が良くても他人なので、心変わりや変化はとめられません。心変わりする可能性、自分が傷つく可能性は、人類が人類である限りゼロにはなりません。

人類にはできない無茶ぶりを要求していることを自覚し、「自分が傷つくリスクがある」と覚悟を決めないと、相手が見つからないか、相手に多大なストレスとプレッシャーを与えることになります。

自分が傷つくのを恐れるあまり、相手の変化を拒否したり怖がったりするのは、相手を「自分が傷つかないための道具」扱いすることと同じだからです。

 

「絶対に自分を傷つけない人がいい」と願う人は、とても不安で傷つきやすく、自信がない人であることが多いです。自信とは「ひどいことがあっても自分は立ち直れる」という自分への信頼なので、自信がある人は「浮気されたら傷つくし絶縁もするだろうけど、自分の尊厳は失われてないから立ち直れる」と信じてリスクを取れます。

しかし、自信がない人は「傷を負ったら致命傷になって回復できない」と思っているため、傷を負う可能性を全力で回避しようとします。結果として人類にはできない無茶振りを要求し、望みが受け入れられずさらに傷つく……という負のループにはまります。

 

傷つくリスクをゼロにしたいなら、他人と関わるのをやめる以外にありません。自分が傷つきやすく、傷を受けたら立ち直りにくいことを自覚して、それでも他者との関係を望むかどうかを自分に問いかけてほしいと思います。

 

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著者:ぱぷりこ

『妖怪男ウォッチ』を書くインターネットの妖精&外資OL。恋愛市場で観測した百鬼夜行を供養中。チャームポイントは筆圧。

ブログ:『妖怪男ウォッチ』
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